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くずし字を解読して古文書を読む

(2021年9月7日更新)

博物館などに行くと様々な古文書が展示されています。解説が横に掲示されていたりしますが、意訳ではなく、実際にどう書かれているのか知りたくなります。また直接読めたなら、書いた当人の気持ちを如実に感じられたり、筆の良し悪しもしっかりとわかることでしょう。あるいはまた、もし家の古い倉から古文書が出てきたりしたら、自分でどうしても解読したくなるのではないでしょうか。

しかし、くずし字の形はとても多様で、字典があるからといって一朝一夕に読めるものではありません。入門書で学んでも、後はいろいろな古文書で実践的に学習を積み重ねていかないといけません。

近ごろ、どなたでも使える、古文書解読にとても有用なシステムやアプリなどが提供され始めました。またインターネットで掲載されているテキストも活用できます。これらを駆使すれば、古文書解読がもっと楽しめることと思います。もっとも博物館でそのまま読み下すには自らの高い技量が必要になりますが、これらを用いて読み重ねていくうちに、そういうことも、できるようになるかもしれません。

URL: http://mojizo.nabunken.go.jp/
人文学オープンデータ共同利用センターが2021年8月30日から公開した、人工知能によるくずし字の認識アプリです。AndroidとiOSのどちらにも対応しており、無料で使えます。
スマホやタブレットをお持ちの方は、アプリをインストールして使うことができます。資料をカメラで撮影してボタンを押せば解読してくれるので、とても便利です。完璧に解読できるわけでは勿論ないですが、非常に手軽に使える上でとても便利です。使い方の動画も掲載されています。誰でもどこでもくずし字を解読できるようになった点で(人工知能=AIの力をフルに活用したという点でも)画期的なアプリと思います。

URL: http://mojizo.nabunken.go.jp/
奈良文化財研究所、東京大学史料編纂所が共同開発して運営しているシステムで、このシステムの強いところは、実際の画像をアップロードするとその画像を解析して推定される字を解析結果として出してくれるところです。今まで古文書の解読には、その他の文献や知識・経験と照らし合わせながら個々人が一つひとつ解読していくしか方法がなかったのですが、このシステムを使うことで過去の膨大なデータを皆が活用して、より素早く確実に解読を進めるようになります。
古文書解読の初心者には、すぐに使えるものではないかもしれませんが、後々に大きく役立ってくる可能性もありますので覚えておいて損はありません。

URL:  https://mokkanko.nabunken.go.jp/renkei/
同じく、奈良文化財研究所、東京大学史料編纂所が運営しているシステムですが、こちらでは検索文字を入力して、各文献にある様々な字体を表示することができます。ちょうど上の『木簡・くずし字解読システム』の逆引きと考えれば良いでしょうか。現実的には、こちらのほうが使う頻度が多いかもしれません。
例えば「候」を検索すると、代表だけで28件の検索結果が出てきます。画像をクリックすれば、さらに詳細な情報を見ることができます。

URL: http://www.tosyokan.pref.shizuoka.jp/contents/history/kuzushi.html
静岡県立中央図書館がインターネットで提供している、くずし字の解読講座です。同じようなことは古文書の解読入門書にも書かれていますが、このテキストは一つひとつを丁寧に解説してあるため、ゆっくりじっくりと勉強するにはうってつけかもしれません。PDFファイルなので、PCやタブレットを使う必要がありますが、紙に印刷して幾人かで勉強する方法もあります。何より(印刷代を除けば)無料ですので、とても嬉しいサービスです。

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