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Libretto 60復活

かなり昔に購入したミニノートPC『Libretto 60』が家から出てきました。まだタブレットはおろかネットブックPCが現れる前のPCです。かつて三重と大阪を頻繁に往復する時期があり、その2時間程度の余暇を文章書きの時間とするために買ったものです。しかし、キーピッチが短すぎて文字打ちがまるで風の谷のナウシカに出てくるオームの足のごとくとなり、肩凝りがきつくて使うのを止めてしまいました。その後、後継機として『Libretto L2』辺りを購入したように記憶していますが、これは振動でHDDが壊れた際にCFに入れ替え、それでプチフリを繰り返し、結局良い人にネットオークションで譲られて行きました。

起動した状態

裏面の独特クリックボタン。画面を挟むようにして使う

そのようにして無用の『Libretto 60』だけが残ったわけですが、今回折角なので起動させてみました。いきなりACアダプターが不在だったのでこれまたLibretto用のACアダプターをこれまたネットオークションで安く仕入れてから起動。静かな状態で眠っていたためか、何の問題もなくWindows 95が立ち上がりました。HDD容量を見てみると半分くらい残っています。動きが軽いです。

インターネットから引っ張ってきたスペックの抜粋は以下の通り。当時のいろんな技術を取り込んだ先進的なPCです。値段は20万円以上。ネットオークションで中古購入したときも2万円近くした気がします。Wi-Fiのみなら5~6000円でタブレットが買える現代からすると隔世の感があります。生粋の国産だったということもありますが……。

Libretto 60の主なスペック

実のところ『Libretto 60』を復活させた記事はインターネットに幾つもあります(その前の世代も含めて)。Windows 95の採用と共に技術がふんだんに盛り込まれたこの機種は、周辺機器も含めて比較的まだ復活させやすいことと、何より愛されていることが要因かなと思います。内部構造から何から詳述されているので、ここではそれは置いときます。
今この時点でこの機種がどうなのかというと、キータイピングとしてはやはり苦しいです。ポートリプリケータをさらに付けてPS/2マウスとキーボードを備えるという手はありますが、そこまでして6.1型VGAの小さな画面で文字を打つというのもなかなか苦行の領域です。
しかし、PCカード接続のFDDが付属しているので、FDDリーダーにはなり得ます。USB接続のFDDリーダーはまだ売ってはいるでしょうが、そのためだけに買うのも馬鹿らしいですから。ただ難題があります。『Libretto 60』からデータが出せない。前述のポートリプリケータや、I/Oアダプタ(本来は標準添付ですが)をもっていればRS232C経由で可能かとは思われますが、いささか大層です。もう一つ赤外線ポートのIrDAもありますが、受け手がありません……。昔、ガラケーでデータやり取りできるか試そうとして失敗した記憶があるようなないような。

そこでさらにPCカード接続の有線LANポート(メルコ製LPC4-CLX)をこれまたネットオークションで買いました。100円で送料が340円と送り代がきついですがジャンク屋に買いに行くのも面倒ですし、動作保証のなさは同じくらいです。ただただドライバーがフロッピーディスクで付属するものを選びました。そうしないと、今度はデータを入れるのに苦労しそうなので(PCカード接続のCD-ROMやCFカードリーダーもあるようですが、どんどんと脇道に逸れていきそう)。
しかし思惑は外れました。届いたパーツと異なるドライバーが入ったフロッピーディスクが同梱されていました。ネットオークションはちゃんと確認して購入しなければならないと改めて反省です。仕方がないので、メーカーサイトからドライバーを落とし、それをFDDの付いている古いデスクトップPCでフロッピーディスクに書き込むという回りくどい手段を取りました。たまたまそんなデスクトップPCが近くにあったのが幸いしました。それもいつ壊れるかわかりませんが……。
そのディスクに入ったファイルをLibretto 60側で一度デスクトップにコピー……しようとしたのですが何故かエラーが出て。ファイルの容量とかはちゃんと表示されるのにコピーできません。Windows 10からフロッピーディスクにコピーしたことに何かあるのか、とにかく不明でした。
それでいよいよ最後の手段として、Libretto 60からHDDを取り出し、IDE-USB変換アダプターを使って、HDD上のデスクトップフォルダに直接ファイルコピーしました。これは難なく成功。Libretto 60はHDDを横から取り出しやすくなっていること、規格的に適合することで助かりました。最初からこの方法にしておけば楽でしたね。

FDDを取り付けた状態

製品としては稼働したが、ドライバーディスクで難儀

やっとこれでドライバーがインストールできる!と思いきや、そうは行きませんでした。デバイスマネージャーからネットワークデバイスとしてLPC4-CLXを選択、プロパティからドライバーの更新に進み、デスクトップ上のフォルダを指定、コピーは順調に進みましたが「wsock.vxd」がないのでドライバーのフロッピーディスクを入れろ、と。しかし、メーカーからダウンロードしたファイルはこれだけしかなく、そもそもドライバーのフロッピーディスクがないからこういうことしているわけで。ネットワークに絡むファイルのようですが、インターネットに落ちているような代物でもなく。Windowsのバージョンが新しければシステムフォルダに入っているのかもしれませんが……。
やむなくそこはスキップし、何度か再起動をするととにかくデバイスは認識されました。ドライバーのバージョンとかは何も出てきませんが。

加えて、IE5.5もインストールしておきました(HDDを取り出した時に一緒にコピーした)。これでそれなりにインターネットサイトは見れるはずです。まず、MS-DOSプロンプトからpingを打ちました。反応が返ってくるので繋がっていることは間違いないです。しかしIE5.5からいろんなサイトを開こうとしてもうまくいきません。wsock.vxdファイルがないせいなのかもしれません。まあ、この無防備なPCで危険なインターネットを見るのが主目的ではありませんので、見れないけれども諦めることにしました。
「ファイル共有」機能がまだないので、コントロールパネル→ネットワークからMicrosoftネットワークアカウントを追加しました。ユーザー名はNASで使用しているアカウントとパスワードを設定。それで再起動をすると、ファイル共有の機能が表示されるので、デスクトップのフォルダを共有状態にしました。さらにPCのワークグループも合わせ、Windows 10側のPC上にも共有フォルダを作成。これで共有できるはず……だったのですが、これまたどちらの共有フォルダへもアクセスできない。おまけにNASへも入れませんでした。NASは一度目に誤ったパスワードを入れたせいかもしれませんが。なお、SMB1.0はWindows 10側からNASの外付けSSDにアクセスするために有効にしてあります。
そして最後、そのNASの外付けSSDにだけはあっさり入れました。いささか勉強不足な点はありますが、結果としては外部とデータをやり取りできる道はついに確保できました。

ですが、やはり今すぐには使い道がありません。フロッピーディスクが読めるといっても、前述のようにデスクトップのFDDも生きているわけで。それでまあ、データのやり取りができるようになったのを節目に、またしばらく眠らせておこうと思います。ざっと50年ほど。その時、価値があるかどうかはわかりませんし、他にもたくさん残っているかもしれませんが、一つの文化遺産として遺しておこうと考えています。

ネットワーククライアント、ネットワーク共有サービスの追加

グッバイ、Windows 95

 

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